放射線技術部
部門について
放射線部は診療放射線技師17人(男女)で8種15機器を担当しており、業務はエックス線やガンマ線(放射線)、強力な磁場と電波を利用した画像診断装置によって患者様から診断情報を取得、これを医師に提供するものです。検査については放射線被ばくの低減に配慮しながらガイドラインに基づき個々の患者様に最適な撮影を行っています。(*1参照:被ばくについての説明)
撮影するだけではなく(CT,MRI,血管造影検査)のデータを元に3D画像処理や解析などを行う機器(ワークステーション×7台)を配置し検査目的に応じて画像処理を追加し、患者様の診療に必要な情報の提供に努めています。
当直を行う全員が放射線部にある装置を全て扱えるように訓練しており、マンパワーの少ない夜間、休日においても画像診断から治療まで検査に従事できる救急治療体制に対応しております。
より多くの患者様の診断、治療に貢献出来るよう尽力して参ります。
主な検査・設備紹介
一般撮影装置
島津製作所製の撮影装置2台で検査を行っています 体外からエックス線を照射して、組織のエックス線透過率の違いを画像化します。この違いから身体の疾患や骨折の有無を調べる検査です。
CT(コンピュータ断層撮影:Computed Tomography)検査
フィリップス社製64列MDCT、東芝製16列MDCTの2台のCTを設置しています。 CT検査は、X線を体の周囲から当ててエックス線透過情報を取得、コンピュータを用いて身体の輪切りの画像を作成するものです。まず、検査ベッドに仰向けに寝た状態でベッドごと、ドーナツ状の装置の中に入ります。 撮影をしている時間は、数十秒から1分程度です。医師の依頼内容によって、繰り返し撮影したり造影剤を使用して撮影します。頭部、心臓血管、体幹部等の細かい画像を短い息止めで高分解能で撮影出来ます。 また1台は救急室に設置している為、救急撮影が敏速に行えます。(*2参照:造影剤について)
上記の画像は下のコンピューター(ziostation2)を使用し、技師の手によって作られた画像です。
MRI(磁気共鳴断層撮影:Magnetic Resonance Imaging)検査
フィリップス社製1.5テスラ及び3テスラの2台のMRIを設置しています。
MRI検査は、強力な磁石の力(磁力)と電波を利用して、身体の縦切りや斜め切りなど自由な断層像が得られる検査です。 まず、検査ベッドに仰向け(検査部位によってうつ伏せ)に寝た状態でベッドごと、ドーナツ状の装置(強力な磁石)の中に入ります。次に、身体に電波を当てると、体内の水分子に含まれる水素原子核から磁気共鳴信号と呼ばれる微弱な電波が帰ってきます。この電波は、組織の水分子の状態により変化するため、病気の部分と正常組織を区別することができます。これらの電波をとらえ、コンピュータを用いて身体の断層像を作成します。 また、血液の流れの情報をとらえて、造影剤を使用せずに血管を描出できるので、腎機能が低下している人でも血管の検査をすることが可能です。
血管造影(アンギオ、Angiography)
当院では血管造影装置が2台稼働しており、カテーテルを使った急性期脳梗塞、心筋梗塞、不整脈等の治療も行っております。血管造影検査とは、手首や肘、太股にある比較的太い血管に針を刺し、血管内にカテーを行う検査です。これによって血管の形や大きさ、血液の流れを知ることで、病気を診断・治療します。
心臓カテーテル検査
カテーテルを用いて冠動脈(心臓の栄養血管)や心室などに造影剤を注入して、心臓の形や弁の動き、冠動脈の状態を調べる検査です。さらに、心臓の各部屋(左右の心房、心室)や肺動静脈、大動脈などの血圧を測ったり、超音波で冠動脈の観察をします。冠動脈の狭小・閉塞した部分を風船の付いたカテーテルで内部から拡張する治療や、細いワイヤーで形成されたステントを留置する治療(経皮的冠動脈形成術、冠動脈血栓除去術、冠動脈ステント留置術)などを行っています。
心臓電気生理学的検査、経皮的カテーテル焼灼術(カテーテルアブレーション)
電極カテーテルを心臓の各部屋に留置して、不整脈の原因を調べます。また、不整脈の代表的な治療方法であるカテーテルアブレーションは、アブレーション治療用のカテーテルで不整脈を起こす原因となっている異常な電気興奮の発生箇所を焼き切る治療法です。アブレーション治療用のカテーテルを太ももの付け根から血管を通じて心臓に挿入し、カテーテル先端から高周波電流を流して焼灼することで、不整脈を根治します。 不整脈の種類にもよりますが、手技時間は大体2時間~4時間ほどで終わります。
頭頚部血管検査
カテーテルを用いて頭・頚部の血管に造影剤を注入し、連続的にX線撮影を行います。動脈、毛細血管、静脈の血管の形や大きさ、血液の流れを知ることで、病気を診断します。動脈瘤内や血管内に金属製のコイルを挿入し瘤の破裂を防ぐ治療(血管内手術)や、薬を用いた血栓溶解術なども行っています。当院では脳外科医が365日病院に待機しており急性期脳梗塞に対して、t-PA静注療法、血栓回収術などの治療を迅速に開始できるようにしています。
t-PA(アルテプラーゼ)静注療法とは発症から4.5時間以内の急性期脳梗塞に対して行う血栓溶解療法のことです。t-PAという脳梗塞治療薬は閉塞した血栓を溶解させ、途絶した脳血流を再開させることが可能で4.5時間以内に静脈内投与ができれば、脳梗塞が劇的によくなる可能性がある治療法です。ただ合併症(脳出血、出血性梗塞)が出現することもあります。この治療法は既往歴、臨床所見、血液所見、画像所見などいくつもの項目がありそれらの中で一項目でも該当すると実施することができません。t-PA静注療法によって改善が認められない場合や、治療の適応外の症例に対して発症から8時間以内の脳梗塞患者さんに用いることが出来る血栓回収療法というものがあります。血栓回収療法には血栓吸引カテーテルと血栓回収ステントの2種類を用います。血栓吸引カテーテルとは専用の再灌流カテーテルに強力な吸引ポンプを用いて閉塞部位に誘導し、血栓を一塊として抜去する方法をいいます。血栓回収ステントとは先端に金属のチップを持ち、らせん状のチューブ構造をもつステント型血栓回収を閉塞部位に挿入して血栓を絡め取ってくる方法をいいます。この治療は日本脳神経血管内治療学会専門医あるいは学会で認定された医師を有する病院でしか受けることができません。当院では該当者が3名在籍しいつでも治療ができる体制を整えています。
上肢、下肢血管検査
カテーテルを用いて腹部の血管に造影剤を注入し、大動脈の形や四肢の末梢血管の状態(瘤形成や狭窄・閉塞)を調べ、治療方針を決定します。また、末梢動脈には、ステントを留置し血管腔を広げる治療(末梢血管形成術)を行っています。経皮的血管形成術(Percutaneous Transluminal Angioplasty; PTA)』とは、血管の中に風船のついた管(バルーンカテーテル)を入れ、血管の狭窄や閉塞部でふくらませて、血管を拡張させる治療法です。さらに金属の管(ステント)を用いて拡張させる方法もあります。治療対象は、主に下肢の動脈や透析患者の血液アクセス(シャント)の狭窄部位になります。PTAはバルーンカテーテルの他に、シースという細く柔らかいカテーテルとガイドワイヤーいうカテーテルを誘導するためワイヤーのセットで使用されます。
下肢の場合、まずガイドカテーテルを主に大腿動脈から挿入して、ガイドワイヤーを下肢血管の狭窄部位を超えて前進させ、その後バルーンカテーテルをガイドワイヤーに沿って前進させます。カテーテルバルーンを狭窄部位に位置させた状態で膨張させて、狭窄部位を拡張します。その後、カテーテルバルーンを収縮させて体外に抜去します。シャントの場合、シースをシャント内に留置して、ガイドワイヤーをシャント内の狭窄部位を超えて前進させ、下肢と同様に狭窄部位を拡張します。
IVR室(多目的撮影装置)
東芝社製IVRフラットパネルTVシステムです。 X線を使い骨折の整復や内視鏡を使った胆石の除去、血管造影まで幅広い検査が可能です。
TV室(X線透視台)
日立社製フラットパネルX線透視台です。バリウムを使った胃や腸の健康診断や、ST(言語聴覚士)と医師立会いの下でVF(嚥下造影検査)を行っています。
マンモグラフィ
フジフィルム社製フラットパネルマンモグラフィです。
乳房の中の小さなしこりや石灰化を撮影する事が可能です。 当院は平成20年に「マンモグラフィ検診施設画像認定」を取得し更新しています。 マンモグラフィ検診施設画像認定とは特定非営利活動法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会が設けている画質、線量等の厳しい基準をすべて満たしている施設を認定施設とするものです。 また当院では3人の女性乳房撮影認定技師が撮影を行い、乳房読影認定医師が読影を行っています。
骨密度検査(骨粗しょう症の検査)
HOLGIC社製の骨密度検査装置です。
DEXA法(Dual Energy X-Ray Absorptiometry)を用いて検査を行っています。DEXA法とは2種類のわずかな放射線を検査部位に当てその透過率から骨密度を測定する方法です。当院では特に骨折するリスクの高い腰椎や大腿骨頸部の測定を行っています。骨粗しょう症は自覚症状がなく、知らないうちに進行していくことがほとんどです。だからこそ定期的に骨密度検査を受けることが重要です。 骨粗しょう症になると骨折が起きるリスクが高まるので、早めに診断を受け食事や運動療法に加え、場合によっては骨を強くするお薬などによる薬物療法を早く始めることが肝心です。 骨密度低下の原因には、閉経後のエストロゲンの急激低下による骨量の減少や、加齢に伴う骨形態性の低下、疾患、病態、薬物が原因になることもあります。骨の健康を知るうえで重要な手がかりになります。特に女性では症状が無くても、50歳以上になったら定期的に骨密度を測りましょう。
RI(Radio Isotope)(核医学、心筋シンチグラフィ)
GE社製の心臓専用シンチカメラを設置しております。「放射性医薬品」を注射し医薬品から出る放射線を専用のカメラでとらえた画像を使い狭心症や心筋梗塞の精査を行います。
心臓専用機で撮影する為、従来の装置より撮影時間の短縮が可能になりました。RI検査は、身体の代謝に応じて特定の臓器や組織に集まる診断薬(放射性医薬品)を投与(ほとんどが静脈注射)し、その薬剤から放出される微量な放射線を「ガンマカメラ」という装置で撮影し、病気の有無や臓器の機能、病状を診断します。また、SPECT(スペクト、Single Photon Emission Computed Tomography)という方法で撮影すると、前述のCTやMRIのように断層像で診断薬の集積部位を描出できるため、より詳しく病気のある部位や広がりを調べることができます。
この検査は、身体を構成する細胞の代謝に応じて診断薬が細胞に取り込まれるかどうかを基本にしています。RI検査画像は、病変を構成する細胞が盛んに活動しているのか、あるいは弱っているのか、機能していないのかを示すもので「機能画像」と呼ばれます。
診断薬が、特定の臓器に取り込まれるまでには数十分から数時間あるいは、数日かかることがあります。このため、RI検査では診断薬を投与してから撮影までに待ち時間が発生します。
また、検査の種類によっては、食事の制限やカフェインが含まれる飲料(お茶、コーヒー、紅茶など)の制限があります。
*1 医療被ばく
医療における放射線利用は、放射線の照射によって患者さんの健康を守ることが目的です。
一律に線量の制限を加えると被ばく量が減るメリットはありますが、診断に必要な放射線診療を受けられない患者さんが生まれ、患者さんの利益を制限するおそれがあります。この考えに基づき、医療で患者さんが受ける放射線の量に制限はありません。ただし、放射線検査は、患者さんの診断や治療のために、医師が必要と判断したものだけを行い、診断情報や治療効果を得るための最適の線量を専門のスタッフが責任を持って実施しています。 放射線技師には、患者さんの健康保持に貢献できる放射線利用を研鑽し、患者さんと関係者の被ばくを適切に管理することが求められています。
*2 造影剤の使用について
CT、アンギオ検査では、「ヨード造影剤」を使用します。造影剤は、血管(静脈)から注射することで、画像の明暗の差を広げ、血管のようすや病気の有無、性質、進展範囲などをより詳細に読み取るための検査薬です。造影剤の注入中に、体が熱く感じることがあります。すぐに治まりますので、心配ありません。血管に注入された造影剤は、通常投与後24時間で投与量の約95~99%が体内に残ることなく、そのままの形で腎臓から尿と一緒に排泄されます。検査後は水分を通常より多めにとるようにしてください。造影剤を注入した患者さんには、稀ですが、副作用の症状がでる方がいます。以下に示す症状は、検査中に起こることが多く、特別な治療を必要としない軽いものです。きわめて稀ですが(1~2万人に1人の割合)で重い副作用が起こることがあります。
喘息の既往がある方は、そうでないかたに比べて重い副作用の起こる確率が約10倍高いと報告されています。
MRI検査には(ガドリニウム造影剤)が最も一般的に使われる。このMRI造影剤は経口投与もしくは静脈投与により全身の血管や臓器に分布します。これによって病気の性質や血管、臓器の様子が鮮明に描出されるようになります、病気の状態をより正確に知ることができるようになります。この造影剤も投与後24時間で腎臓から尿中に排泄されます。副作用もCTと同じように報告されています。アレルギー歴、特に気管支喘息、重い腎機能障害、造影剤の副作用歴がある場合には副作用の危険性が高くなります。
軽い副作用→自然に軽快しますが程度により薬による治療を行うことがあります。 気分不良、吐き気、動悸、頭痛、かゆみ、くしゃみ、発疹など 重い副作用→ただちに担当の医師が適切な治療を行います。 呼吸困難、声がれ、意識障害、血圧低下、ショックなど 遅発性副作用→病院にいない場合に上記の症状が出た時はすぐにご連絡ください。体質により、稀に検査後しばらくたってから(30分から1週間後)、軽い副作用があらわれることがあります。