当院について

当院について

ご挨拶

 ホームページを閲覧いただきましてありがとうございます。4月1日よりホームページをリニューアルしましたが、令和6年度を迎えるにあたり、ご挨拶を申し上げます。

 新型コロナがやっと落ち着き、病院も含め社会的混乱はほぼ落ち着きましたが、私たち医療の現場ではコロナ以前より吹いていた、高齢者の増加や生産人口減少などの日本が抱える問題が大きくのしかかってきています。

 4月より医師の働き方改革が実施され、夜間や休日の医療体制は限られた人数で病院業務を運営しなければなりません。これまで医師は己の専門性を磨き、得意分野をしっかり診療する事が重要とされてきましたが、非専門分野は他の専門医師にゆだねればよかった環境でした。しかし、これからは人員の中で地域から求められる医療を提供する必要があり、これまでより診療領域を広め、全人的な医療を行っていく事が求められます。今後生じうる問題として限られた個人の能力や1つの医療機関だけでは求められる医療を遂行できない事が発生する可能性があります。

 このような問題を解決するには、それぞれの医療機関がその役割分担を明らかにし、地域全体で市民のための医療を連携して行っていく必要性があります。私たち掖済会病院でも地域医療支援病院として救急医療をはじめとし、多くの患者さんの初期対応にはこれまで同様取り組んでいきたいと考えておりますが、提供できる診療内容には限りがあり、来院された患者さんの病状により、より適切に治療して頂ける施設へご紹介させて頂かねばならない事例もこれまで以上に発生してくるでしょう。このような問題は、当院だけではなく二次救急を担当する多くの中小病院のみならず、多くのスタッフが在籍する三次救急病院でも、急増する救急患者の対応には人的にも、ベッドをはじめとする物理的にも、限界となることが考えられています。

 本年6月から実施される診療報酬改定でも地域で発生した多くの患者さんに適切に対応するために、初期診療後の救急患者を他院へ転院搬送を行うことが診療報酬上の評価として追加されました。これは、三次救急医療機関等に救急搬送された患者について連携先医療機関でも対応が可能と判断する場合には、看護師等が同乗の上で転院搬送する場合の評価として新設されたものです。

 また、別項目として介護施設と病院などの連携に対して取り組む方針が示されており、今後このような病院・施設同士の連携がますます求められます。当院では、地域の住民の皆様、医療・介護施設の方々、行政の方々とコミュニケーションを図りながら地域医療の充実に資したいと考えております。

 地域の皆様にはこのような医療の現状をご理解いただきますとともに、適切な医療提供の維持にご協力いただければ幸いです。新年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。

令和6年4月

院長 藤 久和