消化器内科

内科

消化器内科

はじめに

消化器内科は主に消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)、肝臓、胆道、膵臓の病気の診断・治療をおこなっています。このような臓器に異常が起きるとさまざまな症状が出ます。お腹が張る、胸焼け、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、食欲不振、体重減少などから、からだが黄色くなる(黄疸)、血を吐く(吐血)、黒い便が出る・便に血が混じる(下血)などあります。また慢性的な貧血なども消化器の病気の症状であることもあります。このような症状でお悩みの方はぜひ当科を受診してください。

当科の特色

消化管領域では、食道、胃、大腸癌の早期発見と内視鏡的治療に力を注いでいます。また近年注目されているヘリコバクターピロリ菌の除菌治療には特に力を入れています。消化管の癌は早期に発見し治療すれば、治る可能性の高い病気です。早期発見に威力を発揮するのは内視鏡です。早期に発見された癌は開腹することなく内視鏡的に切除することが可能な場合があります。またヘリコバクターピロリ菌は、胃十二指腸潰瘍の原因のひとつとして重要な役割を果たすことが明らかにされており、更には胃癌発生への関与も推定されています。感染の有無は、内視鏡で胃の組織を採取してピロリ菌を顕微鏡で探す方法や菌の培養、尿素呼気テストで診断します。胃十二指腸潰瘍における除菌治療は健康保険で認められており、胃酸分泌抑制薬および2種類の抗生物質を1週間内服します。内視鏡検査においては挿入時の苦痛が問題となりますが、当院では経鼻内視鏡を導入し苦痛の少ない内視鏡検査が行える体制を整えています。

内視鏡センター

当院の内視鏡センターでは安全かつ苦痛の少ない内視鏡検査を効率よく出来るよう努めております。当院で検査を受けられた患者さんが再び当院での検査を希望されるよう職員一同細心の注意を払って検査を進めてまいります。

内視鏡

内視鏡スペースです。2台の内視鏡機器で効率よく検査できるよう努力しております。

検査の様子

実際の検査中の写真です。検査中は医師、看護師ともに安全に検査が出来るよう緊張感を持って検査に臨みます。

自動洗浄機

当院では自動洗浄機にて内視鏡をいつも清潔に安心して使用できるよう努めています。

大腸内視鏡

近年食生活の欧米化に伴い、大腸癌をはじめとしてポリープ、憩室症(大腸に小さなくぼみが出来る病気)などの大腸疾患の発生頻度が増加しています。特に大腸癌による死亡率は胃癌に次ぐ高さとなり、その早期発見と早期治療の必要性が叫ばれています。従来、大腸検査といえばバリウムを使用したレントゲン検査が主体でしたが、最近では機器および技術の進歩に伴い、内視鏡検査が主体となりました。微細な変化を見逃すことなく、的確な診断、治療が行えます。

大腸は肛門から盲腸に至る約80cmの消化管です。検査は肛門から内視鏡を挿入する方法で行います。ポリープなどが見つかり、内視鏡的に処置が可能な状態であれば、直ちに治療を行います。以前は手術しか治療法がなかった癌でさえも、早期であれば内視鏡による粘膜切除術という方法で治療が可能となりました。この結果、検査を受けられる方の肉体的、精神的負担は従来と比較して大幅に軽減されました。

大腸癌、大腸ポリープの症状としては、血便、便通異常、腹痛などが挙げられますが、これらはいずれもある程度病変が大きくなってから生じるものです。簡単な大腸疾患の検査法としては、便潜血検査があります。便潜血検査とは便を採取してその中に血液が混入していないか調べる簡単な検査です。便潜血検査で陽性だった場合は大腸内視鏡検査を受ける必要があります。また便潜血反応が陰性の場合でも、小さな病変が発見される場合もあります。早期発見、早期治療のため、定期的な大腸内視鏡検査を受けられる事をお勧めします。

当院では安全に大腸内視鏡検査を行うために透視下(レントゲン)にて検査を行っています。

経鼻内視鏡

今まで食道、胃、十二指腸などの上部消化管に対する代表的な検査は、口から内視鏡を挿入する経口内視鏡検査でした。経口内視鏡検査は、内視鏡を挿入する際に舌やのどを刺激するため、強い吐き気や嘔吐反射が出現し、その結果多くの人に「胃の内視鏡検査は苦しい」という印象を与えてきました。
また、内視鏡の太さは改良されて細くなりましたが、それでも飲み込む時に人によっては強い苦痛を伴うために内視鏡検査を敬遠する人がいました。そのために施設によっては鎮静剤や鎮痛剤を使用して経口内視鏡検査を実施してきました。しかし、鎮静剤や鎮痛剤を使用した場合、その副作用による眠気、ふらつきのため、車の運転が半日できないといった制約がありました。そこで、より苦痛の少ない検査法として経鼻内視鏡が開発されました。経鼻内視鏡は鼻からのどを通過して食道、胃と入っていきますので舌を刺激しません。そのために、経口内視鏡と比較して挿入時の苦痛、観察時の吐き気や嘔吐反射が軽減され検査中の患者さんの負担が軽くなりました。また、検査中に会話が出来ますので意思の疎通が円滑になり、リラックスして検査を受けることが出来ます。

具体的な検査方法ですが、まず経鼻挿入のために鼻腔の麻酔が必要です。鼻腔粘膜に内視鏡が接触すると鼻出血を起こしますので、その予防と鼻の通りをよくするために鼻腔に局所血管収縮剤をスプレーで噴霧します。次に鼻腔に局所麻酔剤を注入します。その後内視鏡と同じ太さの柔らかいチューブを鼻腔に狭窄の無いことを確認してから経鼻内視鏡を挿入し食道、胃、十二指腸と観察して行きます。

 

右の鼻腔にチューブを入れて麻酔をしていところです。経鼻内視鏡の欠点としては経口内視鏡に比べて観察時間が少し長くなることと鼻腔の狭い人には挿入できないことです。また、数%の頻度で鼻出血が起こりますが10分程度鼻を押さえていれば止血できます。

経鼻内視鏡は検査中でも会話は可能です。

検査後は外来で実際の写真をお見せしながら検査結果をご説明いたします。

内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)

ESDは胃癌の新しい内視鏡治療法として開発されました。従来胃癌を完全に治すには開腹して胃(2/3から場合によっては全部)と所属リンパ節の切除が原則でした。しかしながら胃癌を早期に発見すればおなかを切らずに内視鏡で胃癌を切除できる事が分かってきました。

1990年代半ばより にいくつかの先進的な医療施設において、より大きな病変や潰瘍瘢痕を伴い従来内視鏡治療では切除できなかった病変を一括切除できる内視鏡技術が開発されました。特殊な電気メスを用いて病変周囲の正常粘膜を切開しさらに粘膜下層を剥離し正常粘膜を含め病変を一括切除する方法が開発され、2004年にESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)と命名されました。胃ESDでは従来の内視鏡的治療(EMR)では取れなかったような大きな病変でも一括切除が可能で、正確な病理組織診断 ができ正確な治癒判定や追加治療の必要性の判断が容易となります。開発当初の胃ESDは出血や穿孔(胃に穴が開くこと)等の合併症のリスクが高いことに加え高度の技術を要し処置に長時間を要しました。しかし近年新たな処置具や高周波装置の開発により十分な経験を積んだ施設においては安全に行えるようになり、胃ESDは2006年4月に保険収載されています。胃ESDの技術は大腸にも応用され大腸ESDとして広まりつつあります。大腸癌は年々増加傾向にあり、当院でも大腸ESDが増加してきております。以前は高度先進医療であった大腸癌に対しての大腸 ESDは2012年に保険収載されており当院でも積極的に大腸ESDを行っております。

日本は高齢化社会を迎え、患者さんの術後の生活の質を落とさないためにも、より体に対する負担の少ない治療法 が求められるようになってきています。ESDは内視鏡的に切除をするため入院期間も約7日間と短期間の入院を目安にしております。現在本邦においては食道、胃、十二指腸、大腸に対してESDが行われていますが、当院では胃と大腸に対するESDを行っております。

胃ESDの一例

大腸ESDの一例

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography:ERCP)

胆道や膵臓にはさまざまな病気が起こりえます。胆管や膵管に結石や腫瘍ができて、胆汁や膵液の流れが悪くなると、胆管炎や膵炎が起きて腹痛や黄疸、発熱などの症状が現れます。血液検査や超音波、CT、MRI検査を行い、胆道や膵臓の病気が疑われ、原因が同定できないときに、詳しく調べる検査法としてERCPが必要になります。胆汁や膵液の細胞検査や組織検査も可能です。狭窄を確認したときは、チューブ(ステント)を通して流れを改善させ、結石を確認したときは、破砕や除去を行うなど、内視鏡的治療を引き続き行うことが可能です。

内視鏡を使って胆管・膵管を造影する検査をERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)といいます。口から十二指腸まで内視鏡(胃カメラ)を入れ、その先端から胆管・膵管の中にカテーテル(細い管)を挿入します。カテーテルから造影剤を入れて、胆管や膵管のX線写真をとります。同時に膵液や胆汁を採取したり、病変部から組織や細胞を取って検査を行うこともあります。

内視鏡下に電気メスで十二指腸の胆汁排出口(ファーター乳頭)を切開する方法を内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)といい、内視鏡下に風船(バルーン)を使用してファーター乳頭開口部を拡張する方法を内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPPD)といいます。これらの検査は、総胆管結石の治療やステントの挿入時に必要になります。総胆管結石があった場合は拡張した乳頭から総胆管内にバスケット状のワイヤーを入れて結石を十二指腸に引き出します。結石が大きい場合は特殊なバスケットカテーテルを胆管内に挿入して石を小さく砕くこともあります。

ERCP、ESTは入院で行う検査になります。前日、または当日より入院していただきます。検査前にのどを麻酔薬で麻酔します。検査台に左側を下にして横になり、静脈注射にて意識をぼんやりとさせます。内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、処置を行います。30分から1時間程度で終了した後、病室に戻り、休んでいただきます。

偶発症としては、急性膵炎や胆管炎、出血、消化管穿孔があります。万一、偶発症が起きた場合には最善の処置・治療を行います。

当院では総胆管結石、胆管炎の症例が非常に多く、緊急のERCP施行も多数行っています。

スタッフより一言

内視鏡センター師長 池田 未央
患者さんの安全と検査治療が効率よく行える内視鏡センターとして日夜をしています。
患者さんのプライバシー保護や安心して検査を受けられるように、通路や検査室を配置しました。 内視鏡検査・治療に関する研修会や勉強会などにも積極的に参加し、知識,技術の向上に努めています。
内視鏡のスタッフは、内視鏡技師を含む看護師等13名です。
『親切』,『素早く』,『安全』をモットーに、これからもサービスに心がけて安心して検査が受けられるようにスタッフ一同努力していきたいと思っています。

 

治療実績

2021年年度(2021年4月~2022年3月)主要検査件数
上部 上部消化管内視鏡検査・処置 1643件
ESD 11件
止血術

5

胃瘻造設 26件
異物除去 5件
胆道系 胆道系内視鏡検査・処置 38件
EST 23件
ENBD・ERBD 9件
下部 下部消化管内視鏡検査・処置 585件
ポリペクトミー・EMR 207件
ESD 4件
止血術 4件
捻転解除 1件
実施検査項目
  • 上部消化管内視鏡検査
  • 下部消化管内視鏡検査
  • 上部・下部消化管出血に対する緊急内視鏡検査
  • 内視鏡的膵胆管造影
  • 上部消化管造影検査
  • 注腸造影検査
  • 腹部超音波検査
  • CT、MRI、腹部血管撮影(DSA)

研修について

臨床研修取得資格
  • 日本内科学会認定医・総合内科専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医

卒後臨床研修に関しては、病院全体でよりよい研修ができるよう努力しております。初期研修2年の間に医療全般の基礎を固めるとともに、救急医療の実践をつめるように指導します。後期研修の間には、消化器疾患全般について消化管・肝臓・膵胆道系の各領域にわたり、上級医の指導のもと豊富な症例を経験することが可能です。
内視鏡治療については、上部消化管内視鏡は初期研修で習得し、後期研修以降は下部内視鏡検査・消化管出血止血術・大腸ポリープ切除術・内視鏡的膵胆管造影(ERCP)を基本とした乳頭切開術(EST)・総胆管結石除去術・胆道ドレナージ術まで習得してもらうことを目標としています。
当院は他科との垣根も低く、スタッフ間のチームワークが良好であり、一致団結して検査・治療に望むるのも当科の特徴であり、熱意と協調性のある消化器内科志望の医師を広く求めています。