主な対象疾患

主な対象疾患

胃がん

 日本人の胃がんの罹患率、死亡率は近年ゆるやかな減少傾向にありますが、それでもがん種別にみた罹患率は大腸がんに次いで第2位(2016年)、死亡率は、肺がん、大腸がんについで第3位(2018年)であり、日本人の主要ながん疾患と言えます。胃がんの発生には、ピロリ菌が大きく関わっており、ピロリ菌による胃炎から胃がんが発生しやすいことが明らかになっています。
 当院では日本胃癌学会による治療ガイドラインに則って治療を進めています。胃がんは進行度で病期分類(Ⅰ期~Ⅳ期)することができますが、Ⅰ期では内視鏡で治療できる場合もあります。内視鏡治療が適応とならないⅠ期およびⅡ期、Ⅲ期の胃がんに対して、根治手術を行います。腹腔鏡手術か開腹手術かは進行度に応じて選ばれます。Ⅳ期では他の臓器へ転移がみられるため、化学療法を中心に治療を行います。免疫療法も治療選択の一つに取り入れています。

 

大腸がん

 日本人の大腸がんの罹患率、死亡率はともに年々増加傾向にあり、がん種別にみた罹患率は第1位(2016年)、死亡率は、肺がんについで第2位(2018年)であり、日本人にとって最重要ながん疾患となってきました。大腸のなかでもS状結腸と直腸が好発部位と言われています。
 当院では大腸癌研究会による治療ガイドラインに則って治療を進めています。大腸がんは進行度で分類(Ⅰ期~Ⅳ期)することができますが、Ⅰ期では内視鏡で治療できる場合もあります。内視鏡治療が適応とならないⅠ期およびⅡ期、Ⅲ期の大腸がんに対して、腹腔鏡による根治手術を行います。Ⅳ期では他の臓器へ転移がみられるため、化学療法を中心に治療を行いますが、奏功例では根治手術が可能となることがあります。また、免疫療法も治療選択の一つに取り入れています。

胆のう結石症、急性胆のう炎

 肝臓で作られる胆汁に溶けているコレステロール、ビリルビンなどの物質が原因となり、主に胆のう内で結石となります(胆のう結石)。胆のうから総胆管に結石が流れ出れば、総胆管結石となります。日本人の胆石保有率は5%ほどと言われており、コレステロール系胆石が増加傾向にあります。 
 胆石症の患者様の多くは症状なく経過していきますが、急に腹痛や背部痛(胆石発作)、高熱(急性胆のう炎)が現れることがあります。
総胆管結石の場合は、胆管内の胆汁が化膿して胆管炎を起こすと、腹痛、発熱に加えて黄疸が出ます。さらに重症化すると、高熱や意識障害、ショックを起こすことがあります(急性閉塞性化膿性胆管炎)。
 基本的には胆石発作、胆のう炎、総胆管結石など症状がある場合が手術適応になりますが、無症状胆石でも将来症状が出てくることを予防する目的などで手術を行うこともあります。また、胆のうポリープや胆のう腺筋症といった良性疾患も手術適応になることがあります。

鼠径(そけい)ヘルニア

 ヘルニアとは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態のことで、おなかの筋肉の壁が弱くなって穴が開いたような状態になり、その部分を通っておなかの中の腸や脂肪が飛び出してくることによりこの部位がふくれてくる病気です。 脱腸(だっちょう)とも呼ばれ、最も頻度が高いのが鼠径ヘルニアです。ヘルニアは自然に治ることはなく、放置しておくと次第に大きくなり、痛みなど強い症状が出るようになるため、根本治療は手術となります。当科では、傷が小さくて確実な修復が可能な腹腔鏡下手術を主に行っています。数日で退院可能です。
 鼠径ヘルニアの他にも腹壁瘢痕ヘルニア、臍ヘルニア、食道裂肛ヘルニアに対する手術も行っています。

急性虫垂炎

 虫垂は盲腸から突起する紐状の臓器ですが、急に腫れて炎症(急性虫垂炎)を起こすことがあります。持続する右下腹部の痛みに吐き気や発熱を伴うことがあります。腫れた虫垂が破れて腹膜炎を起こし、重症化することもあります。治療は、抗生剤による保存的治療と手術治療があり、それぞれ患者様の状態に合わせた治療を選択します。

腹膜炎

 胃腸が破れた場合(穿孔性腹膜炎)や壊死を起こした場合(絞扼性イレウス)は急速に全身状態は悪化するため、緊急手術が必要です。穿孔部や壊死部を切除する場合、人工肛門を増設する場合など状況に応じた手術となります。当院ではこれら緊急手術に対応します。

肛門、直腸疾患

痔核、裂肛、痔ろう

 軽症の痔核に対して注射剤(ジオン注)での治療(ALTA療法)を行います。難治性の痔核に対しては、ALTA療法と痔核切除術を組み合わせた外科治療を行います。

直腸脱

 粘膜脱(不完全直腸脱)に対して、経肛門的手術を行います。
完全直腸脱に対しては腹腔鏡下直腸固定術を行います。

中心静脈ポート造設術

 嚥下障害や繰り返す誤嚥性肺炎の患者様や化学療法が必要な患者様に対して、中心静脈ポート造設術を行っています。医療連携室を通じて老人施設などからの依頼に対応します。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤に対する高周波カテーテル治療(ラジオ波による血管内焼灼術)の導入

下肢静脈瘤に対する高周波カテーテル治療、またはラジオ波を用いた血管内焼灼術が2014年6月より保険適応となりました。当院でも、この技術を導入して治療しています。エコーで観察しながら専用のカテーテルを静脈瘤に入れていき不要な瘤の部分を内側からつぶしてしまう治療です。従来のレーザー治療より、カテーテルの温度が超高温にならないため術後の痛みや周りの組織への影響が少ないとされています。基本は日帰りで、手技は30分ほどで部分的な麻酔で行いますのでとても楽に治療を受けてもらえると思います。エコー検査で静脈瘤の走行を見て適しているかを調べたうえで治療をします。下肢静脈瘤による不快感やその他の様々な症状でお悩みのかたは一度血管外科外来(毎週火曜日)でご相談ください。

血管

閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)

動脈硬化によって足の血管が細くなったり、詰まったりすることにより起こります。程度によって、足が冷たい、歩くとふくらはぎが痛くなり休憩しないと歩けなくなる(間歇性跛行とよびます)、あし足の指先が紫色になり痛んだり、潰瘍になったりするという症状がみられます。外来で足の血流を器械で調べたり、足首と腕の血圧を同時測定することで簡単に検査できます。必要ならマルチスライスCT、MRI、血流エコーまたは血管造影検査を行い精密検査を行います。

治療は症状や病気に程度に合わせて、運動療法、薬による治療、カテーテルによる治療(血管拡張術)、バイパス手術を行います。

運動療法は当院では医師または専門のリハビリ療法士の立ち会いのもと間歇性跛行の出る距離を考慮した運動リハビリを行っています。

血管拡張術は局所麻酔で行い2-3日で退院できます。バイパスは長距離の血管閉塞の場合に行いますが、自分の静脈を使う自家静脈バイパスと人工血管を使ったバイパス法があります。

2007年に国際的な治療ガイドライン(TASC II)が改訂のうえ発表され、当院でもこれに基づき患者さんの全身状態も考え最良の方法を選択して治療を進めていきます。

下肢静脈瘤 (かしじょうみゃくりゅう)

下肢静脈瘤は足の後ろや内側表面の静脈がこぶの様に腫れる疾患です。原因は出産、長時間の立ち仕事あるいは遺伝的理由などによって静脈の弁不全が生じてしまい、静脈血が逆流することによります。症状は酸素飽和度の低い静脈血が皮膚や筋肉組織に貯留することにより生じるだるさ、熱感、かゆみ、皮膚炎、皮膚の色素沈着でまれには潰瘍といって皮膚がただれてくる場合もあります。女性は腫れた瘤が目立つことを気にされるケースもあります。

当科ではまずドップラー血流計という血流を音で感知する検査器を用いて診察を行い静脈瘤の原因である弁不全が何処にあるかを調べた上で、必要によっては血流エコー検査で深部の静脈の状態も診ます。治療は程度によって弾性ストッキングを着用する、硬化剤という薬を瘤になっている部位に注入する(静脈瘤硬化療法)、逆流血管を数カ所糸でしばり流れを止める(高位結紮手術)、瘤になっている静脈全体を除去する(静脈抜去手術)という方法で行っています。

結紮術、抜去術どちらも2-3cmの小さな皮膚の切開創で行います(創の数は程度により変わってきます)どの治療も外来治療かあるいは1-2の短期入院で行えます。特に深刻な病気ではありませんが、皮膚に異常が見られる方や日常的に不快な症状に悩まれている方は一度是非ご相談ください。

深部静脈血栓症 (しんぶじょうみゃくけっせんしょう)

足の深部を走行する静脈が血栓によって詰まり突然足が腫れる疾患です。血栓のできる原因は足の血流の停滞です。長い間寝たきりの状態や一時的に動けない状態(手術後など)下腿の筋肉のポンプ作用が弱まるため静脈血が滞り血流速度が遅くなることにより血液が固まり易くなり血栓となることがあります。

診断のため、まずは血流エコーと血液検査で血栓の有無を検査します。急性期であれば、血液の固まりを溶かす薬で治療します。CT検査にて血栓の広がりかたや大きさを調べて、必要なら足と心臓との間にフィルターを置き足の血栓が肺の血管に移動して肺梗塞症を起きるのを予防します。慢性期の場合、薬を飲んで症状の安定化を図ります。また血栓後遺症と呼ばれる諸症状の緩和のために弾性ストッキングの着用も有用です。

慢性腎不全(まんせいじんふぜん)のシャント

腎不全や腎炎で腎臓の働きが弱ったときには、人工透析をしますが、その際に必要なシャントという動脈と静脈をつないで静脈を太くする手術を行っています。主に前腕部の表面の血管を用いてシャントを作りますが、この部位の血管が細くて使えないときには腕の静脈をつかったり、人工の血管を使ったりすることがあります。

またシャント血管は繰り返し刺したり押さえて血を止めたりしますので、細くなったり詰まったりして使えなくなることがあります。その際は、まずは血管のなかから専用のバルーンを使って細くなった部位、詰まった部位を再び広げる(血管拡張術)を行います。当科では、シャントの作製から補修まで行い、腎臓の悪い方に取って大切な人工透析に支障のないように尽力いたします。

この他表在性血栓静脈炎、バージャー病(閉塞性血栓血管炎)、動脈瘤などの病気を担当しています。

乳腺

対象疾患

乳がん・乳腺症・乳腺炎・良性乳腺腫瘍などの乳腺疾患。

日本女性の癌罹患率の第1位は乳がんであり、年間約4万人が発症しています。(女性20人に1人) そして乳がんによる死亡者数は年間約1万人で年々増加し続けています。
欧米ではすでに1990年代すでに乳癌による死亡者数は減少し始めています。
これは薬物療法の進歩とともにマンモグラフィを用いた乳がん検診の普及が大きく関与しているものと考えられます。(当院においてもマンモグラフィ及び乳腺エコーの受診者数は5年前と比べ約3倍(年間約1500名) と著しく増加しています。)
(当院ではマンモグラフィ・エコー検査は主に熟練した女性検査技師にお願いしています。)

マンモグラフィ検診施設画像認定取得

当院は、平成20年6月に「マンモグラフィ検診施設画像認定」を取得しました。マンモグラフィ検診施設画像認定とは、特定非営利活動法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会が設けている画質、線量等の厳しい基準をすべて満たしている施設を認定施設とするものです。

また、当院では撮影は乳房撮影認定技師(女性)が行い、乳房読影認定医師が読影を行っています。

基準を維持するために、毎日の撮影装置の精度管理、撮影技術の維持を心がけていますので安心してマンモグラフィ検査を受けていただけます。

マンモグラフィ、乳腺エコー受診者数

一方、手術術式については胸筋合併乳癌切除術はほとんど見られなくなり、胸筋温存乳房切除術がおおよそ全体の50%を割り、乳房温存療法がおよそ50%を超えるに至っています。これから増々乳房温存療法が増加していくものと考えております。

当院での乳癌温存療法の適応
腫瘍径 3cm以下(良好な整容性が保たれるならば4cmまで可)
病巣の数 単発を原則とするが、2病巣であっても近傍にあれば可能
広がり 乳管内進展が限局性のもの(広範な進展例は除外)
非浸潤性乳管癌 局所切除により病巣を取り除くことが可能なもの
インフォームドコンセント 患者さんが乳房温存療法を希望する

※3cm以上でも患者さんが強く希望される場合は、術前、術後療法を十分に検討し実施することがあります。
※術後は残存乳房に対して原則放射線照射を行い、断端陽性や 高度リンパ管侵襲の場合は追加切除(乳房切除を含む)を考慮します。

乳がん手術症例数-乳房切除と乳房温存療法

乳がん初発手術年齢(1988~2007年)

大きな腫瘍には術前化学療法後に乳房温存療法をすすめています。さらに術中にセンチネルリンパ節の迅速病理診断を施行し、転移陰性例には腋窩リンパ節郭清を省略し、術後の合併症の大きな問題である上肢のリンパ浮腫、運動制限等の合併症を激減させています。乳房切除術後には希望される方には形成外科(神戸大学)での乳房再建術を紹介しています。

術前検査は全て外来で行い、手術前日に入院、術後は乳房温存術で3~4日、乳房切除術では約7日程度の入院となります。また患者さんの日常生活への早期復帰、早期復職を考慮し、抜糸のいらない手術創(キズ)の目立たないための吸収糸(バイクリル)による皮下埋没縫合を行うことで創傷治療が早くきれいなキズで早期退院を目指しています。
乳房温存術後には放射線治療(5~6週目)を原則とし乳房切除術でも、再発危険群には放射線治療の追加をすすめています。

乳癌術後の生存率(1998~2007年)

術後の治療はほとんどが外来通院で行われることになり、ホルモンレセプター(ER,PgR),ハーセプテスト(HER-2)の結果及びリンパ節転移の個数などを考慮し、ガイドライン・エビデンスに基づいたいくつかの選択肢を提示しながら患者さんの個人個人の状況に応じたテーラーメードな治療を行うことを目指しています。

当乳腺外来では乳がんの疑い、また心配のある方、他院で乳がんの診断を受けられた方のセカンドオピニオン、乳がん術後の検査、その他の乳腺の外科的疾患などについても診察・ご相談に応じています。

さらに、平成17年10月より念願でありました『乳がん患者さんの会』を年2回開催し、『あじさいの会』となづけました。

チーム医療の一環とし、リマンマチーム(病棟・外来看護師)が中心となり、外科医師、乳腺エコー検査技師、マンモグラフィ撮影技師、病理検査科、リハビリ技師等の全ての職員の力を借りて『元気な女性』というあじさいの花に負けないくらい楽しくて活気ある色々な悩みを分ち合える患者さんの会に成長させていきたいものと願っています。

甲状腺・副甲状腺

対象疾患

甲状腺がん・甲状腺機能亢進症・良性甲状腺腫瘍などの甲状腺疾患。原発性上皮小体機能亢進症・正中頚嚢胞などの頚部腫瘤。

首のしこりから発見されることの多い疾患として甲状腺の良性あるいは悪性腫瘍があげられます。

当科外来ではこういった腫瘍の疑いがある方の診療・ご相談をお受けいたしています。また当院ではこれらの甲状腺腫瘍手術をはじめ、外科的治療を要するその他の甲状腺・副甲状腺の疾患についても診療・治療を行っています