平成29年度 神戸掖済会病院 病院指標

DPCデータを用いた病院指標

DPC(診断群分類別包括制度)とは、DPC(Diagnosis Procedure Combination)の略で、病名と診療内容等の組み合わせにより、1日当たりの定額医療費を基本として計算を行う制度です。
当院ではDPCデータから全国統一の定義と形式に基づいた指標を作成し、皆様に情報公開をいたします。
この病院指標は、数値やデータを解説することにより、皆様に当院の特徴や医療の現状を理解していただくことを目的としております。

現在公開しております病院指標は、平成29年度(平成29年4月1日~平成30年3月31日)中に当院を退院された患者さんのデータを集計の対象として作成しております。
集計対象患者は、医科保険適用患者(公費、生活保護患者含む)で、DPC対象外患者(入院後24時間以内に亡くなった患者さん、自動車賠償責任保険・労災保険・自費等の患者さん)は除いております。

なお、全ての指標において症例数が10未満の場合は-(ハイフン)で表示しております。

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
1.年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 10歳未満 10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代 90歳以上
患者数 403 89 66 94 232 365 771 1420 1564 508

年齢階級別患者数は、神戸掖済会病院を退院した患者さんの年齢を10歳刻みで集計したものです。  

(定義)
平成29年度に一般病棟を退院した患者さんを対象としています。
年齢は入院日時点の満年齢としています。

(解説)
当院は地域医療支援病院であり、質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しております。
全体で見ると高齢化の影響で60歳以上の患者さんの割合が多く、全体の約77%を占めております。
2.診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

各診療科別に症例数の多いDPC14桁分類(DPCコード)を集計しております。 項目はDPC14桁分類に対する症例数(患者数)、平均在院日数(自院・全国)、転院率、平均年齢で、各診療科別に上位5つを掲載しております。

それぞれの診療科がどのような疾患を多く診療しているかを知ることが出来ます。

なお、DPCは入院患者さんのみが集計対象であり、外来患者さんは含みません。
指標に示されるそれぞれの用語は以下の通りです。

◇DPCコード
診断群分類を表すコードです。医師によって決定される主病名と、一連の入院期間中に行われた医療行為の組み合わせによって分類されますので、同じ主病名でも医療行為が違えばDPCコードも異なります。14桁の数字は全てに意味をもち、全国共通のコードとして使用されております。

◇DPC名称
主病名についてどのような医療行為を行ったかを表します。

◇平均在院日数(自院)
入院中の在院日数を症例毎に集計し、その値を症例数で割った平均値です。
※以降の指標でも同様です。

◇平均在院日数(全国)
厚生労働省より公表されている、全国DPC対象病院の平成29年度における在院日数の平均値です。

◇転院率
該当する症例数のうち、当院から他病院に移動して入院継続(転院)することとなった患者さんの割合です。
※以降の指標でも同様です。

内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 44 24.18 21.25 9.09% 87.07
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 31 12.77 11.06 0.00% 80.87
060190xx99x0xx 虚血性腸炎 22 12.27 9.19 9.09% 74.41
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 17 7.88 7.89 0.00% 65.24
100071xx99x010 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。) 16 11.00 12.94 0.00% 68.69
内科では、1番目に多いのが誤嚥性肺炎、2番目が胆管結石・胆管炎、3番目が虚血性腸炎となっています。
続いて、穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患、2型糖尿病で末梢循環不全や多発合併症があるものの順となっています。

2型糖尿病は、血糖コントロールのための教育入院や、他科からの依頼による血糖コントロール、その他感染症に伴う高血糖や低血糖による入院もあります。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
050130xx99000x 心不全(処置等なし) 91 26.74 17.95 7.69% 83.22
050050xx99200x 狭心症、慢性虚血性心疾患(経皮的冠動脈形成術等手術あり) 72 2.86 3.22 1.39% 72.06
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 71 5.14 5.51 0.00% 68.00
050130xx99020x 心不全(処置等あり) 71 24.00 25.02 4.23% 83.35
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患(心臓カテーテル検査あり) 62 2.87 3.06 1.61% 70.92
最近は高齢化に伴い、心不全症例が増加傾向にあります。

循環器内科では、狭心症、心筋梗塞等の心臓カテーテル検査・治療や心房細動をはじめとするカテーテルアブレーションなども積極的に取り組んでいます。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 83 6.14 6.02 1.20% 0.73
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 72 5.49 6.09 0.00% 1.47
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 63 5.86 5.79 0.00% 2.41
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎 21 5.43 5.50 4.76% 2.81
040100xxxxx00x 喘息 19 6.74 6.42 0.00% 2.58
小児科では、呼吸器系の疾患が多く、 上位5診断群分類のうち4つを呼吸器系の疾患が占めています。
小さいお子さん達にとってこれらの感染症の日々の予防と、罹患した場合は早めの治療がとても重要になります。

なお、当院の小児科は平成30年3月をもちまして、閉科となっています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 50 6.86 7.61 0.00% 63.00
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍(「乳房部分切除術・腋窩部廓清を伴わない」がされたもの) 34 10.35 10.30 0.00% 70.00
060150xx02xxxx 虫垂炎(虫垂周囲膿瘍を伴うもの等) 18 9.67 9.91 0.00% 50.06
130070xx99x00x 白血球疾患(その他) 17 6.88 8.81 0.00% 66.59
060035xx99x00x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 12 8.83 7.20 0.00% 69.75
外科で最も多いのは、「胆嚢水腫、胆嚢炎等」、次に「乳房の悪性腫瘍・乳房部分切除術(腋窩部廓清を伴わないもの)がされたもの」、3番目が「虫垂炎(虫垂周囲膿瘍を伴うもの等)」となっています。
続いて「白血球疾患(その他)」、「結腸{虫垂を含む}の悪性腫瘍」の順です。

「胆嚢水腫、胆嚢炎等」とは、おもに胆石を伴う急性胆のう炎や胆のうポリープのことです。
「白血球疾患(その他)」とは、化学療法(抗がん剤を使った治療)に伴う好中球減少症のことです。

胃癌、大腸癌、乳癌に対する外科的治療も積極的に行っております。特徴としましては、患者さんの術後の生活の質(QOL)を考慮し、胃癌、大腸癌等につきましては腹腔鏡下にて行うことが多く、乳癌については患者さんの状況に応じて、乳房温存術、乳房切除術、さらに術後乳房再建術を行っております。

女性の放射線技師・エコー検査技師も積極的に雇用し、女性患者さんに安心して治療をうけていただくよう心がけています。

また、悪性疾患に対する抗癌剤による化学療法も、積極的に外来で行う方針としています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
070370xx97x0xx 脊椎骨粗鬆症 170 27.14 25.67 60.00% 83.96
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 47 34.19 26.26 4.26% 75.89
160760xx97xx0x 前腕の骨折 36 3.75 5.49 0.00% 51.44
160700xx97xx0x 鎖骨骨折、肩甲骨骨折 23 3.57 5.86 0.00% 53.61
160720xx01xx0x 肩関節周辺の骨折脱臼 21 12.62 14.19 9.52% 70.86
高齢化に伴い、骨粗鬆症を基盤とした、大腿骨頚部骨折などに対し人工骨頭挿入術等の実施症例が多くなっています。
また、大腿骨頚部骨折地域連携パスの使用により、転院率も高くなっています。
これは手術後に、よりリハビリを重点的に実施することで、患者さんの状態や生活の質を良くすることを目的としています。

患者数では、高齢化、骨粗鬆症に伴う大腿骨近位部骨折や圧迫骨折などが最多で、2番目は、やはり高齢化に伴う変形性などの膝関節症となっており、どちらも手術(人工関節術等)を要する症例となっております。
3番目には、前腕の骨折となっておりますが、こちらも高齢による、骨粗鬆症を基盤とした骨折が多く見られます。
以下、鎖骨骨折・肩甲骨骨折、肩関節周辺の骨折脱臼と続きます。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
050180xx97xxxx 静脈・リンパ管疾患 20 2.20 3.34 0.00% 69.20
050170xx02000x 閉塞性動脈疾患 - - 17.39 - -
090010xx05xxxx 乳房の悪性腫瘍 - - 7.91 - -
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 - - 3.44 - -
160590xxxxxxxx 四肢神経損傷 - - 7.83 - -
静脈・リンパ管疾患は、下肢静脈瘤の疾患です。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 79 19.14 16.54 22.78% 72.43
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷(手術あり) 73 12.60 9.87 5.48% 79.88
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷(手術なし) 54 8.26 7.52 7.41% 71.76
030400xx99xxxx 前庭機能障害 45 6.27 5.24 2.22% 67.93
010040x099x00x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 32 22.41 19.35 46.88% 73.59
脳神経外科で最も多い症例は、「脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)」です。
2番目に多いのは、「頭蓋・頭蓋内損傷(手術あり)」となっています。
3番目に多いのは、「頭蓋・頭蓋内損傷(手術なし)」となっています。
以下、「前庭機能障害」、「非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満)」と続いています。

当科としては、この地域の脳疾患の急性期治療に積極的に対応しており、脳卒中や頭蓋外傷の救急搬送患者さんが多い傾向があります。

平成28年8月より、日曜日のリハビリテーションを開始し、患者さんの早期の社会復帰や早期の退院に努力しています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 48 8.15 8.96 0.00% 74.23
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 40 9.15 8.78 0.00% 76.48
080011xx99xxxx 急性膿皮症 35 9.77 11.97 0.00% 66.06
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 21 2.71 4.28 0.00% 44.38
080090xxxxxxxx 紅斑症 - - 10.37 - -
皮膚科で1番目に多い帯状疱疹は、痛みを伴う紅斑や水疱を症状とする疾患です。
早期診断、早期治療がとても大事で、診断が遅れると潰瘍となったり瘢痕を残したり疱疹後神経痛が持続する可能性が高くなります。

2番目の皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)は、頭部・顔面・手背などの露出部位に多くみられ、腫瘍を摘出する手術を行う有棘細胞癌が主な疾患です。

3番目の急性膿皮症は、具体的には溶連菌やぶどう球菌による細菌感染症である丹毒や蜂窩織炎で、高熱を伴ったり、外来治療では十分な治療を行えない重症患者の入院治療を行っております。

4番目の皮膚の良性新生物は、(癌ではない)皮膚・皮下にある腫瘍を摘出する手術を行う疾患です。

5番目の紅斑症は、全身の多彩な疾患を伴う皮膚病変です。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 88 13.74 21.25 10.23% 85.88
180010x0xxx0xx 敗血症(1歳以上) 20 18.45 19.24 5.00% 85.40
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 17 15.00 12.43 0.00% 75.65
100380xxxxxxxx 体液量減少症 13 13.69 9.33 23.08% 80.00
030400xx99xxxx 前庭機能障害 - - 5.24 - -
社会全体の高齢化にともない、高齢者の発熱での救急搬送が増えています。
高齢者の発熱の原因として多いのが肺炎と尿路感染症です。
またとくに夏場には体液量減少、いわゆる脱水での救急搬送が増えます。

前庭機能障害は、いわゆる「めまい」のことです。
めまいは、様々な要因でおこります。とくに、長時間めまいが続く・立っていられないほどの強いめまいの場合は、すみやかに医療機関に連絡をしてください。
3.初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - 14 - - 1 7
大腸癌 - - 16 11 - - 1 7
乳癌 17 12 - - - - 1 7
肺癌 - - - - - - 1 7
肝癌 - - - - - 14 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
現在、日本で最も罹患率の高い5つのがん(胃がん・大腸がん・乳がん・肺がん・肝がん)の病期(Stage)ごとの症例数(患者数)を初発のUICC病期(ステージ)分類別、および再発に分けて集計しました。

(定義)
複数回入院した患者も1例として数え、患者数は延べ患者数としています。
また、ステージが「0」のものは集計対象外としています。
UICC病期分類とは、原発腫瘍(T)、所属リンパ節転(M)、遠隔転移(M)の要素によって各癌を0期~Ⅳ期の5病期(ステージ)に分類するものです。

原発巣とは癌が最初に発生した場所にある病巣のことです

※病期(Stage)とは、がんの進行状態を示すものであり、0期からⅣ期の5つに分類されます。0期に近いほどがんが小さくとどまっている状態であり、Ⅳ期に近いほどがんが広がっている状態となります。
なお、検査入院においてがんの確定に至らない場合のStageは不明となっています。

(解説)
当院では胃癌、大腸癌、乳癌等の診療を多く行っております。

早期胃癌、大腸癌に対する手術は、腹腔鏡下手術を行い、なるべく体に負担がかからないように心がけております。

乳癌に対しては、温存手術を主に行っております。

また、再発進行癌に対しては、化学療法を行っております。

化学療法に関しては、化学療法室を設置し、当院では積極的に最新の化学療法を取り入れ、化学療法認定看護師、薬剤師とともにチームとして治療、副作用対策を行っております。
4.成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 23 7.57 56.26
中等症 70 17.37 81.83
重症 33 22.24 86.64
超重症 15 20.60 85.40
不明 - - -
普段の生活の中で罹患した肺炎の患者さん(15歳以上)について、重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。
重症度は、市中肺炎ガイドラインによる重症度分類システム(A-DROPシステム)により分類しました。

(定義)
入院のきっかけとなった傷病名および医療資源を最も投入した傷病名が肺炎、急性気管支炎(ウイルス性肺炎、誤嚥性肺炎等を除く)であるものです。
入院後発症の肺炎、一般病棟以外からの転入、他院からの転院も除きます。

(解説)
患者数が最も多いのは中等症となっております。
平均年齢をみますと、中等症以上では80歳前後と高齢になっており、やはり重症な患者さんほど、平均在院日数が長くなっています。
5.脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 252 25.92 76.81 33.33%
その他 21 21.62 75.14 3.30%
脳梗塞の病型別の患者さんについて、患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計したものです。

(定義)
医療資源を最も投入した傷病名が脳梗塞の症例を集計しています。

(解説)
当院では、脳梗塞症例の殆どが発症日から3日以内に入院して治療を受けています。

脳血管疾患も死亡原因の上位に位置する疾患であり、脳梗塞の場合、早期に治療を行うことが効果的とされています。
 
当院の脳神経外科としては、この地域の脳血管障害の急性期治療・救急対応に積極的に対応しております。
6.診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

症例数の多い手術件数を各診療科別に集計しております。
それぞれの診療科がどのような手術を多く実施しているかを知ることができます。

項目はKコードに対する症例数、平均術前日数、平均術後日数、転院率、平均年齢で、上位5つを掲載しております。
※4位以下で症例数が10未満の場合は掲載していない場合があります。

(定義)
手術術式の点数表コード(Kコード)による集計とし、輸血関連(K920$)や創傷処理などの軽微な手術、加算等は除外としております。
同一のKコードで複数の部位が対象となる手術は、DPCコードを用いて部位別に集計しております。
転院は、最終的な退院先が「転院」の患者となります。

指標に示されるそれぞれの用語は以下の通りです。

◇Kコード
医科点数表で定められた、手術に対する点数表コードです。

◇名称
手術術式の名称です。同一のKコードで複数の部位が対象となる手術もあり、その場合は部位別に集計しております。

◇平均術前日数
入院日から手術日まで(手術日当日は含まない)の平均日数です。

◇平均術後日数
手術日(手術日当日は含まない)から最終退院日までの平均日数です。

内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 189 0.17 1.17 0.00% 69.67
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみのもの) 24 2.21 10.00 0.00% 79.38
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 18 7.28 15.61 0.00% 76.50
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 16 0.06 1.25 0.00% 70.81
K654 内視鏡的消化管止血術 12 1.00 13.00 8.33% 80.17
内科では、内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)を最も多く行なっております。同手術の長径2cm以上のものと合わせますと、年間205件の手術数となります。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 47 1.28 4.98 0.00% 70.57
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 46 1.00 2.72 0.00% 68.13
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 36 3.61 14.50 2.78% 81.72
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 26 0.08 10.77 3.85% 69.62
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 25 2.76 6.88 4.00% 68.84
循環器内科では、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈ステント留置術をはじめとして、冠動脈の症例数が、最も多くなっております。
心臓カテーテル治療とは、腕や足の血管から心臓まで管を通して、心臓の血管の閉塞や狭窄などの病変を治療する方法です。患者さんの状況に合わせて様々なタイミングで 手術が行われております。

また、当科では徐脈性不整脈に対するペースメーカー移植術や、頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションを行っております。

当院の循環器内科は、心血管病全般の診断と治療を担当していますが、特に急性心筋梗塞、不安定狭心症、急性心不全等の急性疾患に対しては24時間体制で対応しています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 78 0.06 2.17 1.28% 66.47
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 57 1.04 7.09 0.00% 64.14
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 33 0.03 0.97 0.00% 75.24
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 24 1.38 9.58 0.00% 73.29
K7182 虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) 19 0.16 8.37 0.00% 50.74
外科の手術件数は「鼠径ヘルニア手術」が最も多く、次いで「腹腔鏡下胆嚢摘出術」、「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)」となっております。以下、「乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)」「虫垂切除術」、の順です。

当院の外科では、積極的に悪性腫瘍(がん)に関する手術を行っています。とくに胃癌、大腸癌等につきましては腹腔鏡下にて行う手術を多く施行しております。腹腔鏡下手術は、開腹手術に比べて、患者さんの体への負担が軽くなる術式です。

また、乳癌に対する手術も年々増加しており、乳房温存術、乳房切除術、術前術後化学療法、乳房再建術等積極的に施行しております。
女性の放射線技師、エコー検査技師も積極的に雇用し、女性患者さんに安心して治療をうけていただくよう心がけています。

近年、胃癌・大腸癌・乳癌は増加し続けており、いかに手術後の生活の質(QOL)を保ち、臨機応変にさまざまな対応するかを考慮して、日々患者さんに接しております。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿) 135 2.80 22.50 54.81% 80.41
K0821 人工関節置換術(肩,股,膝) 69 1.35 31.96 7.25% 74.88
K0811 人工骨頭挿入術(肩,股) 67 3.42 26.61 59.70% 83.18
K0462 骨折観血的手術(前腕,下腿,手舟状骨) 44 2.32 14.02 4.55% 53.82
K0463 骨折観血的手術(鎖骨,膝蓋骨,手(舟状骨を除く),足,指(手,足)その他) 36 1.28 8.53 2.78% 57.06
整形外科で最も多い手術は、高齢化による骨粗鬆症を基盤とした上腕や大腿に対する骨折観血的手術で、次2番目が膝関節、股関節、肩関節に対する人工関節置換術となっています。3番目の肩、股関節に対する人工骨頭置換術も骨粗鬆症を基盤にしたものがほとんどです。
続いて、前腕、下腿などに対する骨折観血的手術、鎖骨、膝蓋骨、手、足等の骨折観血的手術となっています。

また、大腿骨頸部骨折におきましては、地域連携パスにより当院と他の病院や診療所が術後リハビリテーショ ンを連携しています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 19 0.00 1.21 0.00% 69.95
K0221 組織拡張器による再建手術(乳房(再建手術)) - - - - -
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) - - - - -
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) - - - - -
K037 腱縫合術 - - - - -
最も多いのが、下肢静脈瘤血管内焼灼術となっています。

以下、組織拡張器による再建手術(乳房(再建手術))、血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈)、

眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法)、腱縫合術の順となっています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 44 0.39 12.14 6.82% 79.09
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 15 0.53 52.80 53.33% 70.60
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) 11 3.27 37.09 81.82% 65.00
K178-4 経皮的脳血栓回収術 11 0.09 41.09 72.73% 78.73
脳神経外科で最も多い手術は、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術です。多くは緊急手術となります。頭部の局所麻酔を行い、 小さな穿頭で硬膜下に溜まった血腫を吸引し、洗浄除去します。

次いで多いのは、脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所)、3番目が頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内)、続いて、経皮的脳血栓回収術となっています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 279 0.55 2.67 0.36% 76.70
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 11 0.82 12.64 0.00% 59.18
K2822 水晶体再建術(眼内レンズを挿入しない場合) - - - - -
眼科では、白内障手術症例が大半を占めています。

また、網膜剥離や急性緑内障発作等の時間外緊急手術も多く対応しています。

当院では、眼内レンズを挿入する水晶体再建術を最も多く実施しております。次いで、黄斑上膜や黄斑円孔等の硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む)、網膜剥離や硝子体出血等の硝子体茎顕微鏡下離断術(その他)も多く行っています。

「眼内レンズを挿入する水晶体再建術」とは、白内障に対する手術です。

水晶体に発生した濁りは、濁った水晶体を手術で取り出すことが根本的な治療法となります。

網膜剥離は、放置すると失明に至る病気で、緊急手術が必要になります。当院では、随時受け入れ体制を整え、夜間休日を問わず時間外も対応しています。飛蚊症が初期症状として現れることが多く、お心当たりのある方は眼科医の診察を早めにお受けください。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 41 0.54 7.12 0.00% 77.95
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) - - - - -
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) - - - - -
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径4cm以上) - - - - -
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(肩,上腕,前腕,大腿,下腿,躯幹) - - - - -
皮膚科で行う手術で最も多いのは皮膚悪性腫瘍切除術、次いで皮膚皮下腫瘍摘出術(部位と大きさにより分かれていますが、上の表の2番目~4番目、5番目が該当します。)、四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術の順となっております。

・皮膚悪性腫瘍切除術
皮膚にできものができたときには、それが悪性かどうかを判断することが、非常に重要です。
皮膚悪性腫瘍とは、皮膚にできる癌です。
皮膚悪性腫瘍の基本的な治療は原発巣を手術的に切除することです。皮膚にできた腫瘍を、周囲の正常な部分を含めるようにして確実に切除することが重要です。

・皮膚皮下腫瘍摘出術、四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術
皮膚にできるしこり(皮膚腫瘍)もしくは皮膚の下にできるしこり(皮下腫瘍)は大変多くの種類がありますが、大きくわけると「良性のもの」と「悪性のもの」に分類されます。そのうち「良性のもの」(例:ほくろ、イボ、粉瘤、脂肪腫、脂漏性角化症、血管腫など)を手術で摘出します。
麻酔法は一般には局所麻酔で行いますが、腫瘍が大きい場合や痛みに弱い方などは全身麻酔や腰椎麻酔(腰から下の場合)で行なうこともあります。
7.その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 10 0.18%
180010 敗血症 同一 16 0.29%
異なる 58 1.05%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 22 0.40%
異なる - -
播種性血管内凝固(症候群)、敗血症、真菌症、手術・処置などの合併症の患者数と発生率を集計しました。
DPC病名と入院契機が「同一」か「異なる」に分類して集計しております。
「同一」はある病気の診療目的で入院し、その病気の治療を行なったということを表し、 「異なる」はある病気の診療目的で入院したが、違う病気が併発していた、もしくは入院中に違う病気が発症したことにより、その治療が主となってしまった場合を表します。

(定義)
医療資源を最も投入した傷病名が播種性血管内凝固(DPCコード:130100)、敗血症(DPCコード:180010)、その他真菌症(DPCコード:180035)、手術・術後の合併症(DPCコード:180040)について患者数をカウントし、全入院患者に対する発生率を掲載する。(DPC6桁分類とする) 発生率はそれぞれの患者数÷全入院患者数×100とし、小数点以下は2桁まで掲載する。
1入院(7日以内再入院を除く)1カウントとする。

●指標に示されるそれぞれの用語は以下の通りです。
◇DPC6桁分類(DPCコード)
14桁あるDPCコードのうち、上6桁で病名が表されるコードです。DPCコード6桁で表示される場合は 病名による分類を表しており、医療行為などは含まれておりません。

◇播種性血管内凝固(症候群)
感染症などによって起こる、全身の血管内に凝固が起こる重症な病態です。

◇敗血症
感染症によって起こる、全身性炎症反応の重症な病態です。血液又は組織中に病態や毒素が存在します。

◇真菌症
真菌による感染症です。

◇手術・処置などの合併症
手術や処置などに一定割合で発生してしまう病態です。術後出血や創部感染などが挙げられます。

◇入院契機
DPCコードにて分類される主病名とは別に、入院のきっかけとなった病名(入院契機病名)が それぞれの患者さんにつけられます。

◇発生率
全入院患者さんのうち、該当の病気で発症した患者さんの割合です。

(解説)
医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきものとして定義される感染症および合併症の発生率を示したものです。もちろん、発生率が低いほうが望ましいのですが、免疫力が低下しているときに合併して発生することが多いため、これらを発生した症例はコントロールが困難な症例と言えます。
更新履歴
2018/09/27
平成29年度病院指標を公開しました。