平成27年度 神戸掖済会病院 病院指標

DPCデータを用いた病院指標

DPC(診断群分類別包括制度)とは、DPC(Diagnosis Procedure Combination)の略で、病名と診療内容等の組み合わせにより、1日当たりの定額医療費を基本として計算を行う制度です。
当院ではDPCデータから全国統一の定義と形式に基づいた指標を作成し、皆様に情報公開をいたします。
この病院指標は、数値やデータを解説することにより、皆様に当院の特徴や医療の現状を理解していただくことを目的としております。

現在公開しております病院指標は、平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)中に当院を退院された患者さんのデータを集計の対象として作成しております。
集計対象患者は、医科保険適用患者(公費、生活保護患者含む)で、DPC対象外患者(入院後24時間以内に亡くなった患者さん、自動車賠償責任保険・労災保険・自費等の患者さん)は除いております。

なお、全ての指標において症例数が10未満の場合は-(ハイフン)で表示しております。

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
1.年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 10歳未満 10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代 90歳以上
患者数 510 93 99 217 279 331 862 1471 1429 380

年齢階級別患者数は、神戸掖済会病院を退院した患者さんの年齢を10歳刻みで集計したものです。  

(定義)
平成27年度に一般病棟を退院した患者さんを対象としています。
年齢は入院日時点の満年齢としています。

(解説)
当院は地域医療支援病院であり、質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しております。
全体で見ると高齢化の影響で60歳以上の患者さんの割合が多く、全体の約73%を占めております。
2.診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード

各診療科別に症例数の多いDPC14桁分類(DPCコード)を集計しております。 項目はDPC14桁分類に対する症例数(患者数)、平均在院日数(自院・全国)、転院率、平均年齢で、各診療科別に上位3つを掲載しております。

それぞれの診療科がどのような疾患を多く診療しているかを知ることが出来ます。

なお、DPCは入院患者さんのみが集計対象であり、外来患者さんは含みません。
指標に示されるそれぞれの用語は以下の通りです。

◇DPCコード
診断群分類を表すコードです。医師によって決定される主病名と、一連の入院期間中に行われた医療行為の組み合わせによって分類されますので、同じ主病名でも医療行為が違えばDPCコードも異なります。14桁の数字は全てに意味をもち、全国共通のコードとして使用されております。

◇DPC名称
主病名についてどのような医療行為を行ったかを表します。

◇平均在院日数(自院)
入院中の在院日数を症例毎に集計し、その値を症例数で割った平均値です。
※以降の指標でも同様です。

◇平均在院日数(全国)
厚生労働省より公表されている、全国DPC対象病院の平成27年度における在院日数の平均値です。

◇転院率
該当する症例数のうち、当院から他病院に移動して入院継続(転院)することとなった患者さんの割合です。
※以降の指標でも同様です。

内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 59 12.07 14.34 8.47% 77.08
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 36 13.42 15.35 0.00% 67.39
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 34 32.62 21.69 8.82% 85.62
内科では、1番目に多いのが肺炎、次いで2型糖尿病、誤嚥性肺炎となっております。

肺炎は、特に高齢の患者さんが多く、重症化しやすいです。とくに誤嚥性肺炎は2週間以上の入院となることが多くみられます。

2型糖尿病は、血糖コントロールのための教育入院や、他科からの依頼による血糖コントロール、その他感染症に伴う高血糖や低血糖による入院もあります。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患(手術なし) 135 3.01 3.07 1.48% 72.15
050130xx99000x 心不全 112 22.56 18.30 6.25% 83.38
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患(手術あり) 65 4.74 4.87 0.00% 70.35
循環器内科では、狭心症、心筋梗塞等の心臓カテーテル検査・治療を中心に治療を行っております。

また、最近は高齢化に伴い、心不全症例が増加傾向にあります。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x1xxx0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳未満) 135 5.92 5.72 1.48% 2.63
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 87 5.67 5.54 0.00% 1.18
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 81 5.63 6.17 1.23% 0.00
小児科では、呼吸器系の疾患が多く、特に「肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳未満)手術・処置等2なし」の症例は小児科における症例の26.1%を占めております。

マイコプラズマやRSウイルスなどによる肺炎や急性気管支炎などの呼吸器感染症の症例が多くなっております。とくに冬季は乳幼児の入院が増加します。
小さいお子さん達にとってこれらの感染症の日々の予防と、罹患した場合は早めの治療がとても重要になります。

また、急性期疾患のみならず、アレルギー疾患、腎疾患を始めとする小児慢性疾患の治療も行っております。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx97xx0x 静脈・リンパ管疾患 62 1.84 3.46 0.00% 68.45
060335xx0200xx 胆嚢水腫、胆嚢炎等 55 7.76 7.84 0.00% 63.29
130070xx99x00x 白血球疾患(その他) 47 5.38 8.17 0.00% 63.21
外科で最も多いのは「静脈・リンパ管疾患」、次いで「胆嚢水腫、胆嚢炎等」、「白血球疾患(その他)」となっています。

「静脈・リンパ管疾患」とは、おもに下肢静脈瘤のことです。
「胆嚢水腫、胆嚢炎等」とは、おもに胆石を伴う急性胆のう炎や胆のうポリープのことです。
「白血球疾患(その他)」とは、化学療法(抗がん剤を使った治療)に伴う好中球減少症のことです。

ここにはあがっておりませんが、胃癌、大腸癌、乳癌に対する外科的治療も積極的に行っております。特徴としましては、患者さんの術後の生活の質(QOL)を考慮し、胃癌、大腸癌等につきましては腹腔鏡下にて行うことが多く、乳癌については患者さんの状況の応じて様々な術式を取り入れております。

女性の放射線技師・エコー検査技師も積極的に雇用し、女性患者さんに安心して治療をうけていただくよう心がけています。

また、悪性疾患に対する抗癌剤による化学療法も、積極的に外来で行う方針としています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 78 34.82 28.70 53.85% 84.54
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 33 37.33 27.21 0.00% 75.33
160760xx97xx0x 前腕の骨折 32 7.66 5.70 3.13% 50.78
大腿骨頚部骨折に対し人工骨頭挿入術等の実施症例が多くなっています。
また、大腿骨頚部骨折地域連携パスの使用により、転院率も高くなっています。これは手術後に、よりリハビリを重点的に実施することで、患者さんの状態や生活の質を良くすることを目的としています。

整形外科では、高齢化や骨粗鬆症に伴う大腿骨近位部骨折が最多で、2番目は、やはり高齢化に伴う膝関節症となっており、どちらも手術(人工関節術等)を要する症例となっております。

3番目には、前腕の骨折となっておりますが、こちらも高齢による骨折が多く見られます。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x099030x 脳梗塞(JCS10未満) 80 20.28 18.08 25.00% 76.20
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷(手術あり) 47 10.02 10.02 4.26% 73.70
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷(手術なし) 46 7.24 7.52 6.52% 57.63
脳神経外科で最も多い症例は、「脳梗塞(JCS10未満)」です。

2番目に多いのは、「頭蓋・頭蓋内損傷(手術あり)」となっています。

3番目に多いのは、「頭蓋・頭蓋内損傷(手術なし)」となっています。

当科としては、この地域の脳血管障害の急性期治療に積極的に対応しており、救急搬送患者さんが多い傾向があります。

平成28年8月より、日曜日のリハビリテーションを開始し、患者さんの早期の社会復帰や早期の退院に努力しています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 43 10.09 9.53 0.00% 73.23
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 41 9.85 9.94 0.00% 32.59
120140xxxxxxxx 流産 36 2.03 2.34 0.00% 34.14
産婦人科で1番目に多い症例は、「生殖器脱出症」です。

2番目に多い「胎児及び胎児付属物の異常」は、そのほとんどが帝王切開の症例です。

3番目は流産となっています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020240xx97xxx0 硝子体疾患 20 11.15 7.42 0.00% 64.30
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 15 11.20 7.99 0.00% 72.60
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 12 12.75 8.62 0.00% 66.00
眼科の入院はほぼ全て手術目的です。

最も多いのは白内障(片目)(両目)手術症例ですが、DPC対象症例ではないため、上記の表には出てきません。
次いで多いのが硝子体の手術、黄斑、後極変性の手術です。
3番目に多い「糖尿病性増殖性網膜症」ですが、近年増加しております糖尿病が原因の疾患です。

当院の眼科におきましては、各病院や医院との連携を大事に患者さん本位の医療を目指しています。主に白内障手術を行っており、身体や眼の状態によっては日帰り手術も行っております。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 69 9.16 8.97 0.00% 71.33
080011xx99xxxx 急性膿皮症 32 8.75 11.97 3.13% 70.81
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 30 3.07 4.38 0.00% 43.10
皮膚科で1番目に多い帯状疱疹は、痛みを伴う紅斑や水疱を症状とする疾患です。早期診断、早期治療がとても大事で、診断が遅れると潰瘍となったり瘢痕を残したり疱疹後神経痛が持続する可能性が高くなります。

2番目の急性膿皮症は、具体的には溶連菌やぶどう球菌による細菌感染症である丹毒や蜂窩織炎で、高熱を伴ったり、外来治療では十分な治療を行えない重症患者の入院治療を行っております。

3番目の皮膚の良性新生物は、(癌ではない)皮膚・皮下にある腫瘍を摘出する手術をおこなう疾患です。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 38 17.82 21.69 23.68% 85.45
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 24 9.71 14.34 4.17% 75.92
030400xx99xxxx 前庭機能障害 12 3.67 5.31 0.00% 64.33
救急科でもっとも多い症例は、誤嚥性肺炎、次いで肺炎、前庭機能障害 となっております。

救急科では、救急患者さんの診療が主になっていますが、やはり社会全体の高齢化に伴い、救急で受診される患者さんのうち肺炎はよくみられます。

前庭機能障害は、いわゆる「めまい」のことです。
めまいは、様々な要因でおこります。とくに、長時間めまいが続く・立っていられないほどの強いめまいの場合は、すみやかに医療機関に連絡をしてください。
3.初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 17 - - - - - 1 6,7
大腸癌 19 29 22 17 11 12 1 6,7
乳癌 16 11 - - - - 1 6,7
肺癌 - - - - - - 1 6,7
肝癌 - - - - - - 1 6,7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
現在、日本で最も罹患率の高い5つのがん(胃がん・大腸がん・乳がん・肺がん・肝がん)の病期(Stage)ごとの症例数(患者数)を初発のUICC病期(ステージ)分類別、および再発に分けて集計しました。

(定義)
複数回入院した患者も1例として数え、患者数は延べ患者数としています。
また、ステージが「0」のものは集計対象外としています。
UICC病期分類とは、転移状況(N)、遠隔転移の有無(M)の要素によって各癌を0期~Ⅳ期の5病期(ステージ)に分類するものです。

原発巣とは癌が最初に発生した場所にある病巣のことです

※病期(Stage)とは、がんの進行状態を示すものであり、0期からⅣ期の5つに分類されます。0期に近いほどがんが小さくとどまっている状態であり、Ⅳ期に近いほどがんが広がっている状態となります。
なお、検査入院においてがんの確定に至らない場合のStageは不明となっています。

(解説)
当院では胃癌、大腸癌、乳癌等の診療を多く行っております。

早期胃癌、大腸癌に対する手術は、腹腔鏡下手術を行い、なるべく体に負担がかからないように心がけております。

乳癌に対しては、温存手術を主に行っております。

また、再発進行癌に対しては、化学療法や放射線療法を行っております。

化学療法に関しては、化学療法室を設置し、当院では積極的に最新の化学療法を取り入れ、化学療法認定看護師、薬剤師とともにチームとして治療、副作用対策を行っております。
4.成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 10 10.20 64.30
重症度 1 29 10.72 76.07
重症度 2 31 15.23 80.19
重症度 3 16 17.88 81.00
重症度 4 - - -
重症度 5 - - -
不明 - - -
普段の生活の中で罹患した肺炎の患者さん(15歳以上)について、重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。
重症度は、市中肺炎ガイドラインによる重症度分類システム(A-DROPシステム)により分類しました。

(定義)
入院のきっかけとなった傷病名および最も医療資源を投入した傷病名が肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(DPCコード040080)であるものです。
ウイルス性肺炎(DPC 040070)、誤嚥性肺炎(DPC040081)、インフルエンザ等は除きます。入院後発症の肺炎、一般病棟以外からの転入、他院からの転院も除きます。

重症度0は「軽症」、重症度1と2は「中等症」、重症度3は「重症」、重症度4と5は「超重症」となります。

(解説)
患者数が最も多いのは中等症となっております。
平均年齢をみますと、中等症以上では80歳前後と高齢になっており、やはり重症な患者さんほど、平均在院日数が長くなっています。
5.脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 - 24 4.71 74.08 0.00%
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 - - - - -
I63$ 脳梗塞 - 209 28.21 77.71 35.41%
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - 11 6.27 71.36 0.00%
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - - - - -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> - - - - -
I679 脳血管疾患,詳細不明 - - - - -
脳梗塞の病型別の患者さんについて、患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計したものです。

(定義)
最も医療資源を投入した傷病名の脳梗塞ICD10の上3桁で集計しています。

(解説)
当院では、I63$の脳梗塞症例が、全体の約81%を占めています。その殆どが、3日以内に入院して治療を受けています。

脳血管疾患も死亡原因の上位に位置する疾患であり、脳梗塞の場合、早期に治療を行うことが効果的とされています。
 
当院の脳神経外科としては、この地域の脳血管障害の急性期治療・救急対応に積極的に対応しております。

※ICDとは、死因や疾病の国際的な統計基準として世界保健機関(WHO)によって公表された病名分類のことで、死因や 疾病の統計などに関する情報の国際的な比較や、医療機関における診療記録の管理などに活用されています。1990年に国際統計協会により制定された第10版のことをICD-10と言います。
6.診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード

症例数の多い手術件数を各診療科別に集計しております。
それぞれの診療科がどのような手術を多く実施しているかを知ることができます。

項目はKコードに対する症例数、平均術前日数、平均術後日数、転院率、平均年齢で、上位3つを掲載しております。

(定義)
手術術式の点数表コード(Kコード)による集計とし、輸血関連(K920$)や創傷処理などの軽微な手術、加算等は除外としております。
同一のKコードで複数の部位が対象となる手術は、DPCコードを用いて部位別に集計しております。
転院は、最終的な退院先が「転院」の患者となります。

指標に示されるそれぞれの用語は以下の通りです。

◇Kコード
医科点数表で定められた、手術に対する点数表コードです。

◇名称
手術術式の名称です。同一のKコードで複数の部位が対象となる手術もあり、その場合は部位別に集計しております。

◇平均術前日数
入院日から手術日まで(手術日当日は含まない)の平均日数です。

◇平均術後日数
手術日(手術日当日は含まない)から最終退院日までの平均日数です。

内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 187 0.34 2.09 0.53% 69.06
K721-21 内視鏡的大腸ポリープ切除術(長径2cm未満) 37 0.46 1.03 0.00% 63.92
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 36 4.08 16.17 2.78% 78.19
内科では、内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)を最も多く行なっております。
その他、詳しい主要な検査・手術件数についてはこちらをクリックしてください。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 69 5.91 4.38 1.45% 71.12
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 27 7.56 17.41 3.70% 79.07
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 26 0.04 12.62 3.85% 75.12
循環器内科では、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈ステント留置術をはじめとして、冠動脈の症例数が、最も多くなっております。

心臓カテーテル治療とは、腕や足の血管から心臓まで管を通して、心臓の血管の閉塞や狭窄などの病変を治療する方法です。患者さんの状況に合わせて様々なタイミングで 手術が行われております。

また、当科では徐脈性不整脈に対するペースメーカー移植術や、頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションを行っております。

当院の循環器内科は、心血管病全般の診断と治療を担当していますが、特に急性心筋梗塞、不安定 狭心症、急性心不全等の急性疾患に対しては24時間体制で対応しています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 103 0.02 2.17 0.00% 68.02
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 65 1.46 6.95 0.00% 63.77
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 64 0.00 0.75 0.00% 69.59
外科の手術件数は鼠径ヘルニア手術が最も多く、次いで腹腔鏡下胆嚢摘出術、下肢静脈瘤血管内焼灼術となっております。

当院の外科では、積極的に悪性腫瘍(がん)に関する手術を行っています。手術例も100例以上あり、とくに胃癌、大腸癌等につきましては腹腔鏡下にて行う手術を多く施行しております。腹腔鏡下手術は、開腹手術に比べて、患者さんの体への負担が軽くなる術式です。
また、乳癌に対する手術も行っております。
女性の放射線技師、エコー検査技師も積極的に雇用し、女性患者さんに安心して治療をうけていただくよう心がけています。

近年、胃癌・大腸癌・乳癌は増加し続けており、いかに手術後の生活の質(QOL)を保ち、臨機応変にさまざまな対応するかを考慮して、日々患者さんに接しております。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(上腕) 63 3.98 27.03 41.27% 81.05
K0821 人工関節置換術(股) 47 2.23 35.60 2.13% 74.32
K0462 骨折観血的手術(下腿) 46 3.20 13.80 6.52% 60.57
整形外科で最も多い手術は、上腕に対する骨折観血的手術で、次いで股関節に対する人工関節置換術、下腿に対する骨折観血的手術となっています。

また、大腿骨頸部骨折におきましては、地域連携パスにより当院と他の病院や診療所が術後リハビリテーショ ンを連携しています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 37 0.35 12.51 10.81% 81.57
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) 22 0.86 54.45 86.36% 71.55
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) - - - - -
脳神経外科で最も多い手術は、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術です。多くは緊急手術となります。頭部の局所麻酔を行い、 小さな穿頭で硬膜下に溜まった血腫を吸引し、洗浄除去します。

ついで多いのは、頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内)です。この疾患は、医療処置が継続必要となりますので転院率は約87%と高くなっております。

3番目の手術は、脳動脈瘤頸部クリッピング術となっています。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 38 0.97 7.92 0.00% 32.66
K9091 流産手術(妊娠11週まで) 36 0.03 1.00 0.00% 34.14
K802-21 膀胱脱手術(メッシュ使用) 22 1.27 9.68 0.00% 69.23
産婦人科で最も多い手術は、帝王切開術(選択帝王切開)となっています。

2番目の手術は、流産の手術となります。

3番目の手術は、メッシュを使用する膀胱脱手術となっています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 426 0.84 1.87 0.00% 76.65
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 39 0.85 10.41 2.56% 69.05
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 25 1.08 11.60 0.00% 63.80
眼科では、白内障手術症例が大半を占めています。

当院では、眼内レンズを挿入する水晶体再建術をもっとも多く実施しております。次いで、硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む)、硝子体茎顕微鏡下離断術(その他)となっています。

「眼内レンズを挿入する水晶体再建術」とは、白内障に対する手術です。
白内障とは、目の中の水晶体(レンズ)が濁って、光がまぶしく感じたり、目がかすんだり、視力が低下したりする病気です。よく「曇ったガラスを通して物を見ているような状態」と例えられます。

水晶体に発生した濁りは、濁った水晶体を手術で取り出すことが根本的な治療法となります。

白内障は水晶体再建術=超音波水晶体乳化吸引術+眼内レンズ挿入術という方法で手術を行います。濁った水晶体を、超音波で細かく砕きながら吸い出し、水晶体のかわりに「眼内レンズ(人工のレンズ)」を挿入します。早期の発見・治療が重要です。
お心当たりのあるかたは、眼科医の診察をお受けください。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 26 0.27 6.88 0.00% 77.42
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) 10 0.00 2.00 0.00% 45.40
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(躯幹) - - - - -
皮膚科で行う手術で最も多いのは皮膚悪性腫瘍切除術、次いで皮膚皮下腫瘍摘出術、四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術となっております。

・皮膚悪性腫瘍切除術
皮膚にできものができたときには、それが悪性かどうかを判断することが、非常に重要です。
皮膚悪性腫瘍とは、皮膚にできる癌です。
皮膚悪性腫瘍の基本的な治療は原発巣を手術的に切除することです。皮膚にできた腫瘍を、周囲の正常な部分を含めるようにして確実に切除することが重要です。

・皮膚皮下腫瘍摘出術、四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術
皮膚にできるしこり(皮膚腫瘍)もしくは皮膚の下にできるしこり(皮下腫瘍)は大変多くの種類がありますが、大きくわけると「良性のもの」と「悪性のもの」に分類されます。そのうち「良性のもの」(例:ほくろ、イボ、粉瘤、脂肪腫、脂漏性角化症、血管腫など)を手術で摘出します。
麻酔法は一般には局所麻酔で行いますが、腫瘍が大きい場合や痛みに弱い方などは全身麻酔や腰椎麻酔(腰から下の場合)で行なうこともあります。
7.その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 20 0.35%
180010 敗血症 同一 11 0.19%
異なる 30 0.53%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 26 0.46%
異なる - -
播種性血管内凝固(症候群)、敗血症、真菌症、手術・処置などの合併症の患者数と発症率を集計しました。
DPC病名と入院契機が「同一」か「異なる」に分類して集計しております。
「同一」はある病気の診療目的で入院し、その病気の治療を行なったということを表し、 「異なる」はある病気の診療目的で入院したが、違う病気が併発していた、もしくは入院中に違う病気が発症したことにより、その治療が主となってしまった場合を表します。

(定義)
最も医療資源を投入した傷病名が播種性血管内凝固(DPCコード:130100)、敗血症(DPCコード:180010)、その他真菌症(DPCコード:180035)、手術・術後の合併症(DPCコード:180040)について患者数をカウントし、全入院患者に対する発症率を掲載する。(DPC6桁分類とする) 発症率はそれぞれの患者数÷全入院患者数×100とし、少数は2桁まで掲載する。
一入院(三日以内再入院を除く)1カウントとする。

●指標に示されるそれぞれの用語は以下の通りです。
◇DPC6桁分類(DPCコード)
14桁あるDPCコードのうち、上6桁で病名が表されるコードです。DPCコード6桁で表示される場合は 病名による分類を表しており、医療行為などは含まれておりません。

◇播種性血管内凝固(症候群)
感染症などによって起こる、全身の血管内に凝固が起こる重症な病態です。

◇敗血症
感染症によって起こる、全身性炎症反応の重症な病態です。血液又は組織中に病態や毒素が存在します。

◇真菌症
真菌による感染症です。

◇手術・処置などの合併症
手術や処置などに一定割合で発生してしまう病態です。術後出血や創部感染などが挙げられます。

◇入院契機
DPCコードにて分類される主病名とは別に、入院のきっかけとなった病名(入院契機病名)が それぞれの患者さんにつけられます。

◇発症率
全入院患者さんのうち、該当の病気で発症した患者さんの割合です。

(解説)
厚生労働省による平成27年度の全国DPC対象病院データ集計では、 全症例に対する割合は播種性血管内凝固が0.39%、敗血症は0.72%でした。

医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきものとして定義される感染症および合併症の発生率を示したものです。
もちろん、発症率が低いほうが望ましいのですが、免疫力が低下しているときに合併して発症することが多いため、これらを発症した症例はコントロールが困難な症例と言えます。
更新履歴
2016/09/28
平成27年度病院指標を公開しました。